スピーチ上手は話の組み立てがうまい⁈場を盛り上げる話の構成の仕方とは?聴かせるスピーチ徹底解説!

オンラインでもリアルでも人前で話すとなれば緊張しますね。
何を話すか、どのように話すか、前の晩はベッドに入ってもなかなか寝付けません。

そんなあなたにスピーチの構成の仕方について簡単なコツをお伝えします。

----CONTENTS----

〇好感を持たれる話題、嫌われる話題

〇スピーチは起承転結で組み立てて盛り上げる

〇スピーチの成否は「つかみ」が命

〇なぜ、伝わらないのか

〇締の挨拶で感情に訴える

〇まとめ

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業界の役員懇親会、異業種懇談会、出版記念パーティー、結婚披露宴などお祝いのパーティーにスピーチは付き物ですね。「テーブルスピーチ」とも言われるスピーチは、お料理や華やかな雰囲気とともにその会を盛大に演出するアクセサリーのようなものです。そう思うと絶対に失敗できません。

パーティーばかりでなく、会議等人前で話す機会は結構あるでしょう。スピーチが得意、という方はごく一部で普通は、苦手意識をお持ちの方が多いはず。失敗しないコツをつかんでおきましょう。

好感を持たれる話題、嫌われる話題

「3分間スピーチが基本」と言われるように、長いスピーチは嫌われます。2分くらいでも十分話せます。好感を持たれるスピーチはまず2~3分の短い話であること。

場には集まっている目的があるので、内容が目的に合っていること、ユーモアがあって、温かい心が伝わる楽しい話であることは好感を持たれる話題になります。

よく、結婚披露宴のスピーチで過去の話をしてひんしゅくを買うことがあります。
友達だからこれくらい、私しか知らない裏話を暴露しよう、というのは悪趣味なので慎みましょう。
内容によっては嫌われる話題になってしまいます。

また、主役や主賓を中心にした話題としても主役の失敗談はユーモアがあるとは言えません。
もちろん事実かもしれないけれど、あなたの品性が問われることになるかもしれません。

例えば、本人が自分で言うと自慢話になるので言えないことを代わりに披露してあげると、みんなが感心し、本人も満足する内容になります。

テンプレートから取ってきたような文章ではなく、聞き手が知らないほのぼのエピソードであると好感を持たれます。

確かにスピーチや挨拶の例文はたくさんあります。それを言えばそつなく、その大役をこなせるかもしれません。しかし、気持ちが伝わらなければどんな美辞麗句も借り物になってしまいます。

紋切り型でなく目的に合った内容で具体的なエピソードを思い出し、自分らしく話そうと思って文章を考えた方が誠実な印象が伝わります。

反対に、主役の話をすべきところなのに、自分の紹介に時間をかけたり、自慢話に話がすり替わったりすると嫌われ、聞きたくないスピーチになってしまいます。反対の立場の人を非難する話や自分の価値観を主張するような話も嫌われます。

初対面の人が多い場合は、その場に集った人たちと人間関係をつくるよいチャンスです。話の内容に感じの良い人柄が現れると、こちらから近づいていけば親近感を持ってもらえるでしょう。また、後で声をかけてもらえる機会も多くなるでしょう。

また、スピーチは先輩や上司等、上の立場の人が依頼される場合が多いでしょう。立場が上なのでどうしてもアドバイス的な内容になりがちです。上から目線の話は嫌われるスピーチになってしまいます。

人は聞きたいことしか聞かないもの。アドバイスを求めているときにはありがたい情報だと思いますが、見知らぬ人からいきなりアドバイスされても、役に立つとは思わないものです。

スピーチは起承転結で組み立てて盛り上げる

ビジネスでは基本的に結論から話しますが、スピーチの場合には「起承転結」で構成するとよいでしょう。

起:話しはじめにおいて、大まかな情報を伝える。
承:起の情報をより詳しく話す。
転:テーマについて、起・承で話した内容を別の視点からとらえて話す。
結:言いたいことの結論を伝える。

例えば、「季節感」がテーマの場合
起:衣替えの季節。季節感を感じる新しい服が欲しい。
承:〇〇通りで流行色のブラウン系のジャケットを見つけに行こうかな。
転:クッションカバーも替えると雰囲気が変わる。
結:忙しい毎日でもちょっと季節感を取り入れて、いつもさわやかに暮らしたい。

骨子を組み立てておいて、それぞれに肉付けをしていきます。最初は多少テーマからずれていても、何が言いたいのか軸をしっかり持っていれば修正できます。まず、言いたいことをランダムに書き出してみることです。

テンプレートではなく、あなたの伝えたいことを起承転結に当てはめる練習をしてみるとよいでしょう。「転」が難しいときは、より具体的な説明にしても構いません。いきなり奇をてらわず、まず、テーマに沿って考えてみましょう。

1分間で話す文字数は約350~400字くらい。それより多いと早口になってしまいます。それを基準に考えると、3分間スピーチなら何字くらい、60分、90分の講演ならこれくらい、と目安がわかります。

まず、1分間スピーチで400字程度の構成を考えると起承転結の配分は100字ずつになります。等分にする必要はありませんので、まず書き出した内容を仕分けして、文字数を当てはめてみると、どのように加減したいか判断ができるようになります。

スピーチの成否は「つかみ」が命

第一印象が大切なように、スピーチでも最初にぐっと心をつかまれると、次は、その次はと聞いてみたくなり、いつの間にか話に引き込まれています。

スピーチ上手になるには、さまざまなテクニックが必要です。それは話し方でもカバーできるので構成においては、「つかみ」の内容を考えましょう。

それには、場の目的、聞き手の興味に合っていることが重要です。今回聞いてくれる人がどんな人たちなのか、聴衆分析をする必要があります。

例えば、次のように話し始めると、聞き手にも同じ経験があるなら親近感や共感を得られます。
共感できる人の話は聞いてみよう、という気持ちになるものです。

①身近な話題から入る
「今朝ここへ来る途中で、金木犀の香りを感じました・・・」「〇〇について今朝の朝刊にも出ていましたね~」と旬の話題でみんなが興味を持っていることを取り上げます。

②聞き手や場の目的に直接関係する話題から入る
「現在の社長のお父様である先代社長は・・・」

③聞き手の親しい人、尊敬する人の話題から入る
「かの有名な〇〇はこのように言いました・・・」

④その場で気づいたみんなに共通する話題
「先ほど〇〇というお話が出ていましたが・・・実は・・」

⑤格言、ことわざなどの引用から入る
「灯台下暗しと言いますが、まさに・・・」

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なぜ、伝わらないのか

聞き手の頭の中に絵が描けるように話すと内容が整理もできて、分かりやすい印象の話になります。そのためには、話す順番を考えましょう。次のような順番を意識してみましょう。

①全体から部分へ
大枠を話しておいてから詳細を伝えること。全体像が分かったうえで部分の説明を聞いているので、話の位置関係が把握しやすくなります。

②既知から未知へ
いきなり知らないこと、馴染みのないことは難しく感じるので、聞き手の思考が止まってしまいます。そのまま話がどんどん進んでいくと、置き去りにされ、ついて行けなくなって、もう聞きたくない話になってしまいます。聞き手が知っていること、馴染みのあることから話すこと。そして、これから伝えたい新しいことを話すと拒絶されずにスムーズに導入できます。

③時系列に沿って
時代の流れ、年齢の若いときから現在に向けて、成長の順等。時間の経過に沿って、古いことから新しいことを話すと因果関係が整理でき、分かりやすくなります。

④短文でシンプルに
文章をつなげないで、一文を短くすることを意識します。日本語は~なんですが、~けれども、と永遠に続くのではないかと思われるほど、つなげることができます。そして、内容がどんどん分からなくなっていきます。

⑤抽象的なことから具体的に
イメージしてもらってから例え話を豊富に入れて、具体的に分かりやすく話すこと。抽象的なことは聞き手にイメージを広げてもらえますが、果たして同じ方向になっているか、確かめようがありません。違っていたら、聞き手を混乱させるばかりです。具体的に説明をすると興味がわき、話についていくことができます。

⑥専門用語、業界用語は避けて、相手によくわかる用語・言葉を用いる
聞き手の理解力が把握できているときは構いませんが、一般的なスピーチの場合は、専門用語や業界用語は使わないようにします。

ポイントを3や5の奇数項にまとめて整理して話す
「こちらのポイントは3つあります。一つ目は~」や「重要点は5つです」と前置きします。
また、「ここまでのポイント3つありました。~と~と~でしたね」と改めてまとめるのも聞き手に分かりやすく伝えるポイントです。3や5という奇数もポイントです。

締の挨拶で感情に訴える

アドバイスは嫌われると先に述べましたが、私はこんな経験をしたので本当に困った、悲しかった、辛かった、だから皆さんは同じ失敗をくりかえさないようにしてほしい~と感情に訴え、「共感」を得られるような内容にすれば、聞き手を惹きつけることができます。

話の中にも事柄だけでなく気持ちを伝えると、あなたらしさが表現できます。そして、そんな聞き手の気持ちを揺さぶるような締めの言葉を最後の挨拶の中にも入れるとよいでしょう。

「ご清聴ありがとうございました。」だけではなく、もう一言、この場で聞いてくれた方の心に残しておきたい自分の気持ちを伝えると、感情に訴えることができます。

人は、聞いたことはすぐに忘れてしまいますが、そのときどう感じたか、は結構覚えているものです。あの話、あの人の話を聞いて、「〇〇を思い出して泣きそうになった」「~に感謝の気持ちでいっぱいになった」という体験は心に残ります。

きょうの話は~でした。」と完結してしまうと、聞き手も「よかった」と満足するのですが、「良い話を聞いた」で終わってしまうことが往々にしてあります。多少感情的にモヤモヤするような余韻が残っている方が長く記憶に残る場合があるのです。

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まとめ

文章の構成は起承転結を意識して、できるところからやってみましょう。喜怒哀楽の感情を意識すれば、あなたらしさが磨かれ、練習すれば、どんどん上手になります。スピーチの指名が早く来ないかな~とひそかに待ち望むようになるかもしれませんね。

秘書検定筆記・面接試験指導歴30年以上、
秘書検定準1級面接審査員歴20年以上、
現在秘書検定実施運営委員 
岸本隆子